2012年3月20日火曜日

アプリサービスの成功モデル (LINE)

少し前にNTT docomo(ドコモ)で通信障害が度々起きたことは、大きなニュースになった。要因について、「スマートフォンの普及と共に通信量が増大し、パケット交換機の処理能力がオーバーフローした」とドコモは説明している。1時間当たりの信号量が想定の1.3倍に達したという。

なぜ、このようなことが起きたか?ドコモの方々もプロとして、スマートフォンの普及率とそれに伴う通信料の増大については、幾つかのモデルを作ってシミュレーションを行い、数ケースの設備増強計画・実行について弾力的な対応ができるようになっていると想定されるからだ。

その背景として、「LINE」の爆発的な普及と利用による、と言われている。LINEとは何か?
  • 無料通話:LINEアプリを利用するユーザー同士ならば無料で通話可能。よって、キャリアの違いを勘案せずにいつでもどこでも無料で電話が可能
  • 無料メール:通話と同様にキャリアの違いを勘案せずに無料でメールが可能
  • 翻訳機能:英語、中国語、韓国語に翻訳可能(メールで)
  • デコメが充実:メールにおける絵文字やスタンプが沢山有り、リッチなコミュニケーションが可能
これらのコミュニケーションは、SNSよりも身近な友人、つまり、これまで携帯電話自体で行っていた仲の良い友人とのコミュニケーションをスコープとしている。よって、facebookやtwitter等とはポジションが異なる。また、無料通話として、skype等と競合するが、デコメを中心としたユーザビリティに重きを置きつつ、CM投下等による大々的プロモーションで絶大な支持を得たようだ。

LINEは、昨年の4月に開発を決め、1ヶ月半でサービスローンチ、10月から無料通話機能を実装、というスピーディな展開。立ち上げ自体はやはり苦戦して、twitterやfacebookで地道に利用を拡大したようだが、ある程度利用者が増加したのと、無料通話機能を実装したタイミングでベッキーのCMで一気に普及したようだ。あとはネットワークの外部性で勝手に爆発的に普及した。ちなみに、1,000万ダウンロードまでの到達スピードはこのようになっている。
  • LINE:6ヶ月
  • mobage:26ヶ月
  • mixi:39ヶ月
業界関係者が、サービスの普及スピードとしてベンチマークしているだろうmobage等を一桁上回るスピードであり。ドコモとしては、そもそも最初はノーマークのアプリで、ある時存在に気づいたが、対応の可否、内容等を検討する間もなく、通信障害を起こすレベルまでに普及してしまったといった感じだろうか。

ということで、スマホ自体の普及率の高まりに合わせ、スマホの基本機能である通話とメールにフォーカスし、基本機能の無料化と、緻密なマーケティングにより現行のサービスには無いユーザビリティの高い機能をアドオンすることで、現行サービスの代替ポジションをとった勝ちサービスが、ドコモ通信障害の背景にあったわけですな。なかなか無い事例だと思う。