2012年3月29日木曜日

水筒を再発明する (THERMOS)

大げさな首題をつけてみました。要は、ユーザーのエクスペリエンスを大きく変えることができたら、再発明と言って良いのかなと思いますけど、THERMOSの水筒もかなり変えているのではないかな、と。

元々は、スタバのタンブラーと同様に、経済合理的な観点から、導入を決めました。私は水分を非常に取る人で、缶コーヒーを一日に3本とか買っていました。なぜ缶コーヒーを一日に3本も飲むのか、と考えてみた時に、その1-2本くらいは削減できるな、削減しても良いな、と思ったわけです。

そんな中で、当時のオフィスの同僚の方が、THERMOSの水筒をお持ちで、
  • デザインがミニマルで、水筒を持つことが恥ずかくない
  • コンパクトでスペースを取らず、収納及び持ち運びが容易
と見てて思っていたのですよね。あぁ、これは今までの水筒が有していた課題を解決しているのだな、と。ということで、THERMOSを購入しました。利用してみて思うのは、こちらの点です。
  • 保温機能が優れており、長時間経過しても、冷たさ / 熱さ のレベルが落ちない
朝に冷たいお茶を入れて、夕方にそれを飲んでも、全然冷たいままです。だから、例えば、熱い飲物を飲む時は、火傷の注意が必要なくらい。通常しばらく時間が経つと、生温く感じてしまうのが、逆に、油断して火傷してしまう可能性があるっていう。保温機能が実に優れていることがわかると思います。一般に、飲物を携帯したとしても、冷たい / 熱いものを飲みたいですから、これまで諦めていた潜在ニーズにミートする、付加価値の高い機能を追加させている、ということができると思います。

以上を勘案すると、水筒を再発明した、と言っても良くないですか?言い過ぎかな?!まあ、エコというキーワードと、先のデザインと機能で優れた商品性とが共鳴して、売れに売れているわけですよね。再発明かどうかは置いておいて、優れた成功事例であることは間違いありません。

2012年3月28日水曜日

正しい資産形成の在り方 (「なぜ投資のプロはサルに負けるのか?」 藤沢 数希)

著者は、ブログ「金融日記」を書いている藤沢数希氏。彼のブログは、最近知ったのですが、ファクトベースで切れ味鋭い情報を発信しています。優秀なコンサルタントの様な多面的かつ論理的な展開をみせています。

元々、理学部博士卒で研究者であり、その後外資金融機関のクオンツ(高度な数学的手法を基に投資戦略や商品開発をする職種)に転身したということで、物事の根本まで定量的に突き詰める論理思考力を持ちつつ、自然科学だけではなく、社会科学にも柔軟な思考も持ち併せている、といった感じでしょうか。ブログもこの本も、とても面白い。


家族が増えたり、年をとってくると、中長期目線で住居や教育等の多大な支出がリアルに想定され、資産形成の方針を考えざるを得ないという人も多いのではないでしょうか。本書では、お金持ちになるため/お金に苦労しないためには、何の投資をすれば良いか?という疑問に対して、シンプルに回答しています。
  • 投資をしないこと
  • 自分の仕事を一生懸命取組んで、給料を上げるべき

非常にわかりやすい結論です。投資の最前線で働いている人による、ファクトを基にした結論なのでとても腑に落ちます。「よい投資法が必ずしもむずかしいものである必要はありません」とも。
  • 投資はリスクに満ちあふれている。どんなに優秀なファンドでも破綻する可能性がある(投資のスタープレイヤーで構成されたLTCMが好例)中、儲かる投資先を継続的に見つけることは、困難
  • 仮に、期待リターンを得ることができても5%程度(株式投資の場合)である。例えば、100万円を投資した場合、5万円でしかない。逆に、年間300万円を投資で稼ぎたいならば、6,000万円が必要
  • よって、目の前の仕事に一生懸命に取組んで、年収を上げる方が近道。リスクも非常に少ない

しかし、ある程度の資産が積み上がっている、または、積み上がったときを見据えて、投資をするならば、下記の投資が良いということも論理的に結論付けられています。
  • インデックス投資をする(TOPIX : MSCI Kokusai = 15 : 85)
これは、山崎元氏の下記の本の結論と一緒です。日本株と海外株の比率は異なりますが、記述の時期も異なることが関係しているでしょう。インデックス投資は、投資自体の面白さはないが、着実な投資方法として、両者に触れられています。



以上が、正しい資産形成のサマリーです。本中には、資産の構成要素と、各要素の重点項目についてシャープに説明されているので、一読をオススメします。日常生活の経済合理性を高めるには良い内容が詰まっています。

最後に、コラムの一部として書かれていたフィナンシャル・フリーダムについて、メモします。非常に共感ですね。
  • フィナンシャル・フリーダムをなるべく早く達成するには、経済合理的に賢く行動し続けることです
  • 長時間続けても苦にならない好きなこと、自分の得意なことをなるべく仕事にしてキャリアを構築し、起業等の機会をうかがい、これはというチャンスに出会ったらそのリスクに賭けます
  • そして、稼いだ金を効率よく投資に回します
  • 地道に自分の能力を磨き、時として人生に訪れる大きなチャンスをつかみ取れるように、いつも感性を研ぎ澄ませないといけません
  • 要は、「人事を尽くして天命を待つ」ということです

2012年3月26日月曜日

素晴らしきビジネスモデル (CANON PIXUS MG6230)

久し振りにプリンターを買いました。上述のを。親の分も買ったので、2台まとめて。結構良い買い物が出来たと思います。購入時の条件の主なところはこんな感じ。
  • 新生活への準備期間にあたり、最もプリンターの販売が盛り上がる、つまり、高まる需要に対して売り負けない様に、価格が下がっている3月末に購入
  • 更に、店頭販売が激化し、近隣店舗間で価格を下げ合う土日に購入
  • 商品を見極めたと同時に、既に安くなっている店頭展示価格から、更に値引きを交渉
  • パソコンとのセット購入を通じて、更に値引き
ということで、結果として、このような価格になりました。
  • プリンター単品価格:18,100円+10%ポイント → 実態価格:16,290円
  • パソコンとのセット購入による割引:2,000円 → 1台当たり1,000円割引(換算の必要もないが)
  • 結果、プリンターの本当の購入価格:15,290円
価格.comで調べてみると、最安価格はこちら。
  • 最安価格:16,099円
色々駆使した結果ではあるものの、全国の最安価格よりも800円くぐった価格で購入できた、というわけです。一つひとつの要素をつぶすことが必要ですね。




まあ、そういった買い物上手話も良いのですが、プリンターのビジネスって美味しいな、って話。

プリンターは、元々、消耗品ビジネスといわれ、プリンター本体を購入した後に、継続的に利用して行く上で必要になる、つまり購入されるインクで儲けているビジネス。継続的に購入されるのでそれだけで結構な金額に及ぶし、価格もプリンター本体に比べて、下落しないので、利益率も高いビジネスということですが。今回の買い物では、企業目線でのビジネスモデルの素晴らしさ、消費者目線ではあまり嬉しくない一面を見たのでした。

今回、自分の家分も購入したのは、数年前に購入したプリンターを使い続けることをやめる選択をしたためです。それは、このような経緯からです。
  • 長期間利用しなかったため、印字ができなくなった(インクが固まった模様)
  • 仕方なく、4,000円以上のインクも購入し、色々と操作を施したが、印字はされない
  • ろくな印字ができないにも関わらず、この時点で、半分以上のインクが消耗
  • 仕方なく、コールセンターに電話した結果、
    • まず、近くの修理センターに、現物を持ち込まないといけない
    • 修理可能な場合は、修理代が発生し、インク代は返らない
    • 修理不能な場合は、インク代は返ってくるが、修理代は発生
誰が修理するんですかね?という状況に陥りました。段階的に、コールセンターの方に交渉をしてみようと思ったのですが、その内、自分がクレーマーになることを恐れて、インク代4,000円以上を泣き寝入りして、新しいプリンターを購入することにしたわけです。

店頭に行ってみて、店員さんにプリンターの最低限の要件を伝えて、ベストなモデルを聞きました。
  • 印刷は、Word/PowerPoint/WebからA4で、加えて、年賀状も
  • A3/4の紙をスキャン
  • 無駄な配線をなくすために、無線LAN接続
結果、店員さんは首題のモデルを提案してくれました。他の候補と比較することで、意思決定の妥当性を高めようと思い、他モデルの可能性について聞いてみたところ、高価なモデルは、不要な機能がつくので、自分にはtoo much。他方で、より安価なモデルは論外の結論、つまり、下記の仕様を有していることがわかりました。
  • インクは、単色毎に交換することはできず、6色まとめて交換しないといけない
当然、黒色の減りは、他色より断然速いことが想定される。しかし、黒色がなくなったら、他色が恐らく6-7割程度あるにも関わらず、全て交換しないといけないということを意味します。6色セットは4,000円以上するでしょうから、2,000円くらい捨てる計算になりますね。イニシャルコストが数千円安くおさえられたところで、ランニングコスト(主にインク代)が断然高くつく。結果、イニシャルコストとランニングコストの和であるトータルコストも高くつく訳です。

プリンター自体の仕様の違いによって、そのようなインクの仕様は仕方ないのかなんなのか知りませんが、中長期的に消耗品を買い続けなければいけない、という消耗品ビジネスの特性を利用した利益向上の一つの打ち手ですね。消費者には全くうれしくない話です。

怖いのは、私が話した店員は量販店の社員だったので、上の情報をインプットされ、首題のモデルを購入するという意思決定をできたのですが、もしメーカーから派遣されていた方に話を伺っていたならば、このようなフラットな情報は入らずに、トータルコスト高のモデルを買っていたかもしれないということです。

ということで、プリンターを購入する時は注意が必要ですね。少し時間がある時に、ちゃんと話を聞いて意思決定するほうが良いと思います。

2012年3月22日木曜日

除湿器のある生活 (Panasonic F-YZG60)

最近まで知らなかった。除湿器というメカを。。。私は乾燥肌なので、小さい頃は加湿器がある部屋で生活をしていたことを覚えてはいるのだが、その逆で、部屋内の湿度を下げるために、空気中の水を取り除く除湿器なるメカがあったなんて、といった素朴な驚き。それを感じたのが数週間前の話である。

最近引っ越したのだが、鉄筋コンクリートのマンションのせいか、部屋が暖かい。1年で最も寒い季節であるはずの2月に暖房をつけずに過ごせるレベルであった。しかし、その代わり、ひどかったのが結露である。外気温と部屋内気温との差が大きいことから、窓やドア周辺部の空気が冷やされ、窓やドアに水が溜まる現象が起きていた。

結果、カビが出る。これまでカビのない生活、人生を送っていたのだが、引っ越してからバタバタしてたせいか、結露対策をしていなかったら、カビが色々な場所に出てきた。これまでカビなんざほとんどお目にかかった記憶がないのだが、その拡大の速度は思いの他著しく、結露対策をばっちりしなければ家中がカビだらけになる、という恐怖から、除湿器を購入したのである。

除湿器を購入するということで見てみると、除湿器には2種類あるよう。
  • コンプレッサー式:コンプレッサーを通して、空気を冷やすことで湿気を水滴に変える
  • デシカント式:水分の吸着に優れたゼオライトで水分を取り除く
首題のモデルは、後者のデシカント式。両者にメリット・デメリットがあるのだが、後者の方が冬でも問題ない、振動音が小さい等のメリットがあり、それを選択した(逆にランニングコストは高くつくのだが)。詳しくはこちら。加えて、店舗での価格、店員さんとの交渉等を経て、当該のモデルに決定したわけです。

除湿器を利用するようになって、勿論結露は減りました。しかし、まーだ出ますね、結露が。朝には窓をさらっと拭く(除湿器が無いと水たまりができていたので随分まし)というメンテナンスが必要のようですが、相当楽になりました。カビもほとんど出ていません。

これまでの結露無し生活が運がよかっただけ、と捉えて、部屋の空気や他メンテナンスをちゃんとせにゃならんな、と学んだ出来事でした。

2012年3月21日水曜日

結婚してないけど、結婚ソングの名曲を創る (「家族になろうよ」 福山雅治)

リクルートの結婚情報誌ゼクシィのCMで流れていた、この曲を聴いたことがある人は多いだろう。CDを借りたのだが、通常の曲だけでなく、結婚式バージョンも入っていて、うれしいことになっています。


昨年から度々耳にしていて、良いな、と思っていたのだが、実際に聴き込んでみると更に良い。これは名曲でしょう。うーん、カラオケで歌いたいなぁ。ということで、歌詞の中から、特に良いポイントを拾ってみました。

  • 「100年経っても好きでいてね」 みんなの前で困らせて それでも隣で笑ってくれて 選んでくれてありがとう
ここは、ベタな所なのだけど、そのベタさがリアルさを演出する。彼女目線の歌詞であるが、彼女の直球な想いのこもったメッセージと、包容力のある彼との距離感が、純粋で爽やかな二人を想像させる。ベタだからこそ、それがリアルに伝わる。

  • どれほど深く信じ合っても わからないこともあるでしょう その孤独と寄り添い生きることが 「愛する」ということかもしれないから・・・
ここはとても深い。いくら相手のことを好きで、信じていたとしても、わからないことはあるのかもしれない。逆に、わからないことがあるから一緒にいるのかもしれない。その二人の間に存在する永遠の何かを「愛する」と結びつけるところに、福山雅治の深い洞察を感じる。

  • いつかお父さんみたいに大きな背中で いつかお母さんみたいに静かな優しさで (中略) いつかおじいちゃんみたいに無口の強さで いつかおばあちゃんみたいに可愛い笑顔で (中略) いつかあなたの笑顔によく似た男の子と いつかわたしとおなじ泣き虫な女の子と
これまで彼女が刻んできた歴史と、これから刻んでいく歴史とを表現している。家族になることは、いままでの家族に加わり、彼らとの歴史を背負うことであり、新たな家族を加え、新しい歴史を創っていくこと、と言い表すこともできるかもしれない。今だけでなく、過去と未来を、そして、自分たちだけでなく、親・祖父母と子供たちを盛り込むことで、結婚の深さや広さ、そして、曲の世界観が格段に広がって行く。

以上、歌詞の良いポイントをピックアップして、触れてみたが、福山雅治の歌声に情感がこもっていて、とても心動かされる曲だなぁ、と思ったわけですね。彼は結婚していない訳ですが、このような名曲を創るのはスゴイな、と。聴くと、どうしてもしびれてしまう曲ですな。

2012年3月20日火曜日

アプリサービスの成功モデル (LINE)

少し前にNTT docomo(ドコモ)で通信障害が度々起きたことは、大きなニュースになった。要因について、「スマートフォンの普及と共に通信量が増大し、パケット交換機の処理能力がオーバーフローした」とドコモは説明している。1時間当たりの信号量が想定の1.3倍に達したという。

なぜ、このようなことが起きたか?ドコモの方々もプロとして、スマートフォンの普及率とそれに伴う通信料の増大については、幾つかのモデルを作ってシミュレーションを行い、数ケースの設備増強計画・実行について弾力的な対応ができるようになっていると想定されるからだ。

その背景として、「LINE」の爆発的な普及と利用による、と言われている。LINEとは何か?
  • 無料通話:LINEアプリを利用するユーザー同士ならば無料で通話可能。よって、キャリアの違いを勘案せずにいつでもどこでも無料で電話が可能
  • 無料メール:通話と同様にキャリアの違いを勘案せずに無料でメールが可能
  • 翻訳機能:英語、中国語、韓国語に翻訳可能(メールで)
  • デコメが充実:メールにおける絵文字やスタンプが沢山有り、リッチなコミュニケーションが可能
これらのコミュニケーションは、SNSよりも身近な友人、つまり、これまで携帯電話自体で行っていた仲の良い友人とのコミュニケーションをスコープとしている。よって、facebookやtwitter等とはポジションが異なる。また、無料通話として、skype等と競合するが、デコメを中心としたユーザビリティに重きを置きつつ、CM投下等による大々的プロモーションで絶大な支持を得たようだ。

LINEは、昨年の4月に開発を決め、1ヶ月半でサービスローンチ、10月から無料通話機能を実装、というスピーディな展開。立ち上げ自体はやはり苦戦して、twitterやfacebookで地道に利用を拡大したようだが、ある程度利用者が増加したのと、無料通話機能を実装したタイミングでベッキーのCMで一気に普及したようだ。あとはネットワークの外部性で勝手に爆発的に普及した。ちなみに、1,000万ダウンロードまでの到達スピードはこのようになっている。
  • LINE:6ヶ月
  • mobage:26ヶ月
  • mixi:39ヶ月
業界関係者が、サービスの普及スピードとしてベンチマークしているだろうmobage等を一桁上回るスピードであり。ドコモとしては、そもそも最初はノーマークのアプリで、ある時存在に気づいたが、対応の可否、内容等を検討する間もなく、通信障害を起こすレベルまでに普及してしまったといった感じだろうか。

ということで、スマホ自体の普及率の高まりに合わせ、スマホの基本機能である通話とメールにフォーカスし、基本機能の無料化と、緻密なマーケティングにより現行のサービスには無いユーザビリティの高い機能をアドオンすることで、現行サービスの代替ポジションをとった勝ちサービスが、ドコモ通信障害の背景にあったわけですな。なかなか無い事例だと思う。

2012年3月18日日曜日

ミシュラン三ツ星のホスピタリティ (藤沢 幸庵)

昨年の夏に藤沢にある懐石料理の幸庵というお店でランチをした。所謂懐石料理なのだけど、そこまで重々しい料理でも雰囲気でもなく、料理はとても美味しいし、店員さんのホスピタリティが極めて高いお店だな、ここはまた来たいお店だな、と記憶していたのだった。

最近、久しぶりに鎌倉のお家に行って、話に上がったのだけど、幸庵がミシュラン(2012)の三ツ星に選ばれたとのこと。なんとミシュラン3つ星のお店だったとは!ミシュラン三ツ星は、フランスのパリにあるアランデュカスで、めちゃめちゃ重々しい雰囲気で、めちゃめちゃ重いフレンチくらいしか食べたことがないので、先の幸庵が三ツ星に選ばれたのは意外だなー、と。なんでも、湘南で三ツ星に選ばれたのは、幸庵だけだというから素晴らしい。

ちなみに、食べログの採点はこちら(N=26)。個人的には結構リーズナブル。
  • 総合:3.92
  • 料理・味:3.92
  • サービス:4.05
  • 雰囲気:3.71
  • 酒・ドリンク:3.55

彼はよく行くお店だったらしいが、ミシュランで三ツ星をとって以来、最近はなかなか予約ができないらしいお店になってしまったらしい。元々馴染みにしていた人には、ミシュランに選ばれてしまうのも、いいのか悪いのかわからないようだ。

既存顧客と新規顧客。毎年ミシュランに選ばれ話題になることで、新規の顧客が永遠に来続けるならば良いのかもしれないが、それにも程度があるような。やはり定期的に来店する既存顧客の維持も必要であり、限られた席数の適切な運用が求められるのだろうなぁ。



あと、ミシュランの選定基準て、どんなものなのだろうか。例えば、アランデュカスと幸庵が全く違うお店なので、両方とも三ツ星であるように。国やジャンルが異なると、比べることは困難なような。調べてみると、星の評価はこちらの通り。
  • 一ツ星:その分野で特に美味しい料理
  • 二ツ星:極めて美味であり遠回りしてでも訪れる価値がある料理
  • 三ツ星:それを味わうために旅行する価値がある卓越した料理
タイヤメーカーであるミシュランが、車での旅行を促進するためのグルメマップを発行したことが起源であることを考えると納得の内容である(これらを規定する詳細な評価指標があると思われるが不明)。確かに、パリにあるアランデュカスは、このお店のために旅行したと言っても良いくらいのインパクトがあったのよね。味も店も価格も。

そんなわけで、国やジャンルにおいて、色々なミシュランの星有りお店で経験してみるのも面白いかも、とか思ったのですね。

2012年3月16日金曜日

投資としてのタンブラー (Starbucks ロゴタンブラー)

行動の意思決定の際に、基本的に、経済合理性を基準の一つにするタイプ。そんな私が少し前に導入したのがスターバックス(スタバ)のタンブラーである。最もスタンダードなコレを。


元々、スタバでタンブラーを利用する人というのが信じられなかった。スターバックスの信者ですか?と。しかし、多分、本当のスタバ信者と経済合理性導入者とに分かれるのだろうと思う。それは、こんな事実があるからだ。
  • タンブラーを持参した場合、カップの代替として扱われ、20円値引きされる

いつ、私がこの事実を知ったかは忘れたが、この事実に加え、ある時、行動パターンとしてスタバの利用回数増加の傾向を感じた私は、タンブラー導入を決めたわけです。
  • 導入コスト:▲1,150円(470ml用)
  • 購入に伴うサービスチケット:340円(アイスコーヒー Tallの場合)
これらの初期条件に対して、1回当たり割引20円とした場合、利用回数との関係はこちら。
  • 利用回数40回以下 → 導入コストを回収できず赤字
  • 利用回数41回以上 → 41回で黒字転換。回数増加に伴い、効果も増加
週当たりの利用頻度が、1回だと約9ヶ月強、5回だと約2ヶ月弱で、導入コストの回収が可能である。勿論、スタバに行かない(低コスト)で、スタバで得られる効用と同様の効用を得る選択肢もあるだろうが、スタバに行くことを前提とした場合は、以上の投資対効果があるわけです。

しかし、これらの条件がある時に、効果が出るまで、本当にタンブラーを利用するか、という実行性が一つのポイントになる。なんか恥ずかしくない?つか、毎回カバンに収納するのって面倒じゃない?と。私も、少し前は、結構ハードルが高いポイントだったと思う。

これらの懸念に対する行動としては、2点あると思う。
  • まず、やってみる
  • 可視化する
まず、やってみる、と良い。私の場合、最初タンブラーを買うことも恥ずかしかった。なんでだかわからないけど。でも、タンブラーを選ぶ時に、店員さんにお話を聞いてみて、とても親切にご説明を頂いたし(スタバの優れている要素の一つ)、タンブラーで注文をする時も、タンブラーを購入してまでスタバを利用してくれるような、ロイヤルティの高い顧客に対する彼らのホスピタリティは、タンブラー非利用者のそれの20%増と思われる(超勝手な印象で)。ということで、一度やってみると、恥ずかしさは、ほとんど意味の無いものだということがわかる。

可視化する、は、自分の取組みが目的の実現に結びついているかを把握するための継続的な仕組みの構築と運用を意味する。仕組み自体は簡単で、エクセルの四則演算で費用対効果を計算する、だけ。しかし、タンブラーの利用が進むにつれ、費用対効果の数値がポジティブに変化していくのを見るのはモチベーションがわき、タンブラーをカバンに収納し、注文し、利用した後も収納し、洗うという面倒さへの有効な打ち手だと思う。黒字転換時は素でうれしい。

そんなわけで、スタバでタンブラーを利用する、のも投資対効果の側面で見ても、一度やってみると良いと思います。

2012年3月15日木曜日

日本人デザイナーのきめ細かさ (zucca)

zozo town(zozo)が熱い。少し前の話で恐縮だが、zozoの年始セールで、以前からチェックしていたzuccaのリュックを購入した。元々、紫色を狙っていたのだがさすがに売り切れていて、黒にしたのだが、これもなかなか良い。価格は、元々の価格の半額である。zozo様ありがとー。

で、しばらく利用してみたけど、やはり良い。例えば、こんなところ。
  • サイズが大きい
    • リュックを使う目的は、容量の多い荷物を収納して移動でき、移動中の身体への負荷が減らせることだ(荷物の重心が、身体の重心に近づくため)
    • 他方で、リュックのサイズは、小さいモノが多くて、身体の大きい人が利用すると滑稽になるケースが多い
    • しかし、このリュックは、身長180cmの私が利用しても、全く違和感はない
  • 収納の仕方が多様
    • メインの収納スペースの他に、外周辺部に大小の収納ポケットが3つあるため、スタバのタンブラーやwimax等の細々した道具を楽に収納することが可能
    • メインや外部の収納においても、自然な位置にチャックポケットがそこかしこに。あまり利用していないけど、収納が沢山あると、なんだかうれしいw
    • かといって、騒がしい感じではなくて、全体はシンプルにまとめられている

かゆい所に手が届く機能性を有している、と言えるのかなと思う。そう日本人のきめ細かさを感じるのだ。ということで、「zucca」は日本のブランドです。デザイナーは日本人の小野塚秋良氏。イッセイミヤケの三宅デザイン事務所で経験を積み・・・

2012年3月13日火曜日

奥が深いバケツ (omnioutil)

バケツ一つをとってみても、作り手次第でステキな代物になるんだな、と鮮やかに学ばされた。それが、こちらの「omnioutil」。

   

何ともオサレな感じなのだが、まぎれもなくバケツ。
  • 5色あって、色は全て鮮やか
  • 大きさも3サイズ。色の種類の組合せにより、更にデザインに幅が
  • 耐荷重が150kgまで可能
  • GOOD DESIGN賞 2010年ロングライフデザイン賞 受賞
通常、アウトドア等で水を入れたり、食材を入れて洗ったり、と普通にバケツとして利用するのだろう。しかし、別にバケツ的な使い方に縛られることもないだろう、ということで、私の家では、玩具入れとして、LEGO、プラレール、積み木等を収納しています。収納して置いているだけでもオサレでうれしいのに、耐荷重が150kgまであるので、子供が粗く扱っても問題ないのもうれしい。

このような商品に出会うと、そこら中にある一つひとつの商品に可能性を感じる。一つひとつがもっとステキな商品になるのではないか、と。そうすれば、この世界の空間はもっとステキな商品で溢れ、もっと豊かな時間を過ごせるのではないか、と。

この製品を観察してみて、デザインファームのIDEOを思い出した。きっと革新的な人が、革新的なアプローチで商品開発をしたのだろうか。または、カラフルでありながらミニマルなデザインであることから北欧のインダストリアルデザイン会社のものだろうか。

 

しかし、調べてみると、「八幡化成」という岐阜県にあるプラスチック雑貨製造・販売会社によるもの。正直、驚きである。岐阜県から、こんなハイセンスのものが!(すいません、岐阜県の方。。。)

八幡化成のホームページを見てみると、「心が豊かに満たされる魅力あるモノ作り」をコンセプトに掲げている。他の商品もざっと見てみたが、なかなかハイセンスだ。モノ作りへの姿勢と結果作られた商品群に、とても共感を覚えた。日本にも、このようなデザインメーカーがあるというのは、なかなか良い発見。

そんなわけで、日々良い商品に出会いたいな、と再認識させられたわけです。おっと、私のブログのタイトルに通じますな。

2012年3月12日月曜日

最近のUNIQLO様のご様子 (UNIQLO GINZA)

3/16(金)に、銀座に世界最大規模の新店がOPENするらしく、銀座駅の構内は、UNIQLOの広告で沢山だ。non-noを筆頭に、11の女性ファッション誌とタイアップした広告展開、そして特集記事は凄いインパクト。さすがに、一度は新しくなった銀座店に入ってみようかと思わせる力がある。例えば、こんな感じ(価格が表示されているところは、H&Mじゃね?と思わせるが)。

 

また、今回の目玉の一つは、パリコレ等で活躍するundercoverとのコラボ商品である(ブランド名は「UU」)。これまで、+Jとして、モード感を持ち合わせた定番商品を展開していたのだが、売れ行きはいまいちで2011-12秋冬モデルで終了になったわけだが、それに替わって、UNIQLOのファッション目線でのハイエンドラインの位置付けとしてリリースされるようだ(以前あったようにシーズン毎にトップブランドのコラボが定番化するのだろうか?)。ちなみに、これは、家族服というコンセプトなので、私はドンピシャなセグメント。元々、undercoverは好きなので、幾つか購入しようと思います。

といった形で、最近のUNIQLOは、旗艦店を中心に、日本国内外で、相変わらずの出店攻勢を繰り広げている訳だが、個人的にはどうもインパクトが少ない。勿論、ここ1-2年のUNIQLOを見ても、社内公用語の英語化や新卒採用方法の柔軟化、等グローバル化目線で色々と手を打っているわけだ。

しかし、なんとなく最近のUNIQLOにはインパクトを感じられないのは私だけだろうか。それは、恐らく商品にインパクトがないからだ。勿論カスタマーインした商品(最近では、カラーボトムス等)やundercoverとのコラボ商品等があるわけだが、それらは現状の成り行きな展開に過ぎないからだろうか。

ヒートテックやフリース等の様に、衣料の素材レベルでの技術をテコにした商品開発や、ブラトップ等の様に、利用者の潜在的なニーズにまで掘り下げた商品開発等を通じて、新カテゴリーを創造した商品は最近出ていないと思う。

なんだか、UNIQLOって大きな会社になったのかな、と思う。新しい施策を打っているけど、それほど目立たない、インパクトを感じないというのは、成り行き施策の割合が相対的に多いからかもしれない。また、人材面でも、大企業と認識して入った人と、大企業にしようと思って入った人とでは自分ごと化意識も異なり、顕在化する施策にも影響が出てくるのかなとも思う。

ということで、少し前のこちらの本。2000年代中盤以降に、UNIQLOのブランド力とグローバル力を急激に底上げした立役者の面々についてまとめられている。この本が出た時点で既に退職している人がいるが、今では、グローバルコミュニケーション部をリードし、カンヌ国際広告祭で金賞をとった勝部健太郎氏も退職している。他の人たちもかなり退職しているのではないだろうか。



今後のUNIQLOはどんな風になるのか。依然として、気になる会社の一つであるわけです。

2012年3月10日土曜日

期待を裏切る構成を (おじゃマップ)

しばらく前に、スペシャル番組として放送していたが、最近レギュラーになった模様。SMAP香取慎吾とザキヤマとゲストが、日本のとある街に出かけ、アポ無しで当地の人たちを訪問し、絡むという構成が基本。スペシャルの時から知っていて、レギュラーになっても、個人的にはかなり面白く見ております。

日本のとある街にアポ無しで訪問する、というコンセプトは、他局の番組である「1億人の大質問!?笑ってコラえて!」の一コーナーである「日本列島ダーツの旅」に似ている。現在の日本を一つの街で切り取った時に、当地が有するユニークな面白さや新しさがフォーカスされることで、何気ない街にある素晴らしさに気づくのである。地域経済の発展にも寄与するのではないか、とも思える良い目的だ。

しかし、「おじゃマップ」は、それに加えて、日本で誰も知らない人がいないのではないか?という人物である、SMAPの香取慎吾が現地に行く所に面白さがある。昔、素人に対するどっきり番組として、街で、素人にインタビューをして、最終的にはインタビューの話に上がった芸能人が現れて、素人を驚かすという構成の番組があったが、それを圧倒的に超越しているのがポイントだ。例えば、家でチャイムが鳴るから出てみると、玄関にSMAPの香取慎吾が立っている、という状況に突然直面させられて、驚かない人はいないだろう。素人が、純粋に驚く様を見るのはなかなか面白いのである。

さらに、この番組特有の面白さを書いていくならば、香取慎吾、ザキヤマ、スタッフの立ち位置である。
  • 通常、香取慎吾はトップスターとしてちやほやされているわけだが、この番組では、アポを突然とりにいかされるわ、スタッフに邪見に扱われるわ、番組収録のスケジューリングがきつきつだわ、といった具合に、なかなか厳しい局面に立たされていて、面白い
  • ザキヤマも、通常は、好き勝手やって、司会者等を困らせる役回りをしているが、この番組では、香取慎吾が好き勝手にやってしまい収拾がつかないので、実は、ザキヤマが番組を仕切っている。普段とは違うザキヤマを見るのも、面白い
つまり、我々視聴者の期待を裏切る構成になっているわけだ。面白さの基本は、予定調和を壊すこと、とは秋元康曰くだが、この番組では、それが実践されている。

とはいえ、これを毎週やるので、少々辛いようで、最近は、「オッハー」で流行語大賞をとった慎吾ママが復活、といったスパイスを追加している。今後はどんな展開を見せるのだろうか。企画の腕の見せ所だ。

ということで、この番組は、現時点ではとても面白いのだけど、予定調和を裏切る構成自体が予定調和になる時期は、そう遠くない時期にくるので、数年限定でレギュラーで続け、あとはスペシャル番組で続けてほしいな、というのが率直なところですな。


 

2012年3月9日金曜日

Amazonとモレスキン (MOLESKINE)

私は基本的に楽天派。楽天カードを主カードにしているで、還元率のアドオンやポイント利用に適しているため、楽天への依存が高くなってくる。楽天での買い物自体にも、お買い得なモノがあるし、商品構成の多様性から買い物自体の楽しさの魅力もあるので、楽天経済圏?!なるものに基本的に巻かれておこうかなと思っている。

しかし、当然かもしれないが、商品によって、Amazonが断然お得なモノがある。最近知ったのが、モレスキンである。1年以上の間、赤のモレスキンを利用してきて、やっと最近一冊が終わろうかというところまできたため、できるだけ安く買いたいと調べた結果、Amazonに行き着いたのである。こちらは、モレスキンのポケットシリーズの価格。
  • 楽天等通常のEC:1,800円
  • Amazon:910円
Amazonの価格は、楽天他のほぼ半額ではないか!グローバルでの仕入れによるボリュームディスカウントなのか(Amazonは楽天のプラットフォーム提供による手数料ビジネス(ブックは除く)とは異なり、自分でサプライヤーから購入し、在庫を持ち、流通させるビジネスモデル)、為替が大きく作用しているのか、本当の要因は不明だが、この事実を知ってしまうと、Amazonでモレスキンを買わない理由は見当たらない。はい、ポチッとな。

 

Amazonて、一般的に、IT企業と考えられていて、勿論、一側面ではIT企業であるのだが、片側面は小売業である。例えば、日本では、サプライヤーに対する価格交渉力は、他小売大手と変わらないレベルに達していると思われる。

それが、グローバルモデルの一括購入等のケースになると、更に有利な価格交渉が可能になるものと思われる。モレスキン以外のグローバル展開商品において、鬼安いものがあるのだと推測される。

ということで、基本的に楽天を利用するとしても、低い工数でありつつ、外部流出費を低減するために、価格や購入頻度の観点から、購入する製品を層別しつつ、個別に情報収集と購入ルートの判断が必要だと思ったわけですな。

2012年3月8日木曜日

広告でイノベーションをおこした人の話(「デイヴィッド・オグルヴィ 広告を変えた男」 ケネス・ローマン)

ブログで幾つか取り上げている様に、私は広告が好きだ。広告って、ラブレターなのよね。自分(企業)が、好きな人(顧客)に振り向いてもらうためのメッセージの結晶と考えることができる。

メッセージは、一言のこともあれば、論理的に事実を積み上げることもあるし、きらっと光る映像でアプローチすることもある。ラブレターの在り方は十人十色だ。相手の心を動かすために、どのようなメッセージをこめるかを考えてみるのは、面白い。

首題の著書のデイヴィッド・オグルヴィは、科学的な根拠と本質的なアプローチにより近代広告を創ったとされる人であり、この本は、彼の人生の話だ。フランス料理のコックに始まり、セールスマン、リサーチャー(ギャラップ)、スパイ等、色々な仕事をしてきて、最終地点は広告である。仕事がめまぐるしく変わりつつ、広告業界で成功に駆け上がっていくその人生は、実に面白い。

一見異なる職歴の積み重ねに見えるが、最終的に広告業界で成功するために必要な能力を断片的に獲得し、それらを繋ぎ合わせ結集したものとも見える。これは、スティーブ・ジョブズが言う、点と点の話を思い出させる。例えば、彼は、各体験から、このようなことを学んでいる。

  • コック:「ここで自分がやることは全て重要である。自分の行動の全てに誇りを持つ。完璧でないものは全てが悪い。」と教え込まれる → 自分がやること全てに、プロフェッショナルであること。自分の至らなさに不満を持ち続けること
  • セールスマン:「いつもどうやって売れるかという視点からものを見る。考えることはそれしかない。」という観点でトップセールスを上げていく → 売上は「よい」広告かを判断する尺度。人を退屈させておいて、モノを売ることはできない

本人が、その時々で最善と思える取組みをし、実経験から学びを得て、それらをちゃんと活かす。それらにおいて、圧倒的な努力をすれば、突出した成功を導き、自分のビジョンを実現することができる。かもしれない、という話。


2012年3月7日水曜日

新規事業の実践的・具体的な創り方 (「創刊男の仕事術」 くらた まなぶ)

実は、かなり昔に買って読んでいた本である。最近、本を大胆に整理しようと思い、全ての本に目を通して、エッセンスを抽出して、売却する、ということをしていたのだが、この本を再度読んでみると、新規事業を創出する際の大事なポイントが相当網羅されているので、売るには惜しいではないか、となった本なのだ。

これまで、新規事業戦略やら事業戦略やらで、多岐に渡る粒度・スコープ・フェーズにおいて、私自身取組んできたが、この本では、新規事業の取組みの過程で直面する壁と、壁への取組み方について詳述されている。

これらの壁というのは、実際にやってみないとわからないポイントだ。なんだかモヤモヤする、とか、本当に正しいのかわからない、とか、そもそも何から始めればいいのかよくわからない、とか。実際に新規事業に取組んでみると、色々あると思う。

そういった思い悩む読み手の目線を意識して、現場感溢れる具体的なアプローチが書かれているので、読んでみると、ストンと腑に落ちるのだ。新規事業に携わる人には必読の書だ。逆に携わったことがない、本気で考えたことがない人は、内容の消化率はあまり高くないだろう。



著者は、リクルートでの在籍20年間で、とらばーゆやフロムエー等14の新規事業を創出し、今のリクルートを創り上げたと言っても過言ではないだろう、くらたまなぶ氏だ。逆に彼がいなかったら、全く違うリクルートになっていたことだろう。企画屋というのは、0か100に近い世界なのだ。

彼が、これまで非常に沢山の新規事業に実際に取組んできた経験があるからこそ、その結晶化された方法論や具体アプローチの納得感は非常に高い。読んでみると、気が狂ったように没頭して、新しい何かを生み出してきたことがわかる。この一冊でそれを感じれるという意味でも、読む価値はあると思う。