2013年11月17日日曜日

「働く」人 (「ゼロ」堀江 貴文)

堀江貴文氏の「ゼロ」を読んでみた。その流れで、「稼ぐが勝ち」も読んでみた。堀江貴文氏の今と過去の両方を読み比べることができて、この読み方はオススメかもしれない。

結局、今も昔も、堀江貴文氏は、「働く」人、のようだ。「働く」ことで、社会との接点を得て、社会を変えることに面白さを感じることができて、他方で、その取組みの中から、自分のレゾンデートルを見いだしている。

でも、これって、多くの人がそうなのではないかな、とも思うのですよね。「働く」ことの意味。要は、「働く」ことの意味を明確に意識しながら働くことができているか、そうすることで、「働く」ことにフルコミットしているのか、できているのか、という部分が違いなのかな、と思いました。

  • 新聞配達からはじまり、塾講師、パソコン、そしてインターネットと起業。少しずつ自らの自由を拡張し、「できること」を増やしていった。その過程で本当の仲間も手にいれていった。働くことは、自由へのパスポートだ
  • 人生には、「いま」しか存在しない。過去を振り返っても事態は変わらず、未来におびえても先には進めない。かけがえのない「いま」に全力を尽くすこと。脇目も振らず集中すること。将来の自分とは、その積み重ねによって形成されていく
  • 挑戦と成功の間を繋ぐ架け橋は、努力しかない
  • 物事をシンプルに考え、原理原則に従うこと、そして理性の声に耳を傾けること
  • 1日は24時間しかないからこそ、しっかり8時間眠る。そうすると実質1日16時間しかなくなる。無駄なことはできないし、無駄を省こうとする意識付けができやすくなる。そして、しっかりと睡眠がとれると、日中の集中力が段違いに高まる。仕事の質は、「集中力時間」で決まる
  • 人は、「仕事が好きだから、◯◯に没頭する」のではなく、順番は逆で、「◯◯に没頭したから、仕事が好きになる」のだ
  • チャンスは誰にでも平等に流れてくる。とるに足らない些細な選択の積み重ねによって、人の人生は決まってくる
上記は、「ゼロ」からの抜粋なのだが、「稼ぐが勝ち」との重複も多い。「働く」ことの行動習慣は昔からあまり変わらないということ。しかし、読み比べてみると、社会との関わり方であり、コミュニケーションの仕方については、変わってきているようだ。会社としての認知向上のフックとしての「稼ぐが勝ち」とは異なり、失敗と学びを基に、ゼロからもう一度働き始め、続けるといったスタンスからの違いなのだろうね。

なんにせよ、「働く」人であり、「働く」ことのプロ、であることには違いありませんね。私は、「ゼロ」を読んでから、「稼ぐが勝ち」を読んだのですが、逆の順番の方が良いかもしれませんね。

2013年11月16日土曜日

何も諦めない「今」を積み重ねる生き方 (「川本裕子の時間管理革命」川本裕子)

これまた、マッキンゼーの川本裕子さんの著書。最近は、何かの本を読んでみて、結構良い内容だったら、その著者の本をブルドーザー的に読んでいく傾向がありますね。


---
人生は有限である。当然のこと。しかし、毎日家で起きて朝ご飯を食べて仕事に行き、仕事から帰ってきて夕ご飯を食べて床につき、そしてまた朝起きて朝ご飯を食べて会社に行く・・・。そんな毎日を過ごしていれば、そんな毎日が、この先もずっと続くのかどうかすらも考えず、人生は有限であるという当たり前のことも忘れがちになる。

しかし、人生は絶対的に有限であり、「今」は今にしかなくて、今しかできないことが沢山ある。自分だけでなく、周りの全ての人やモノゴトは時間の経過と共に変わっていってしまうもの。その唯一無二な瞬間の重なりをどう過ごしていくか、を考えることは、時間の使い方を考えることとイコールであるとも言える。

そんな中、「今」を過ごして行く上で、何も諦めない「今」を積み重ねるための考え方と工夫が詰まっている本なのかな、と思う。所謂コンサルティングのアプローチを、時間の使い方に適用した本質的な内容と、トップレベルのナレッジワーカーである川本さんの時間の使い方の創意工夫なtipsが沢山あるという意味で、結構リッチな内容になっている。

重要な要素を幾つかあげると、主に、3つ。
  • 出口から考える
  • 問題は書き出して整理する
  • 時間は総量管理し、作ったスケジュールは忠実に守る

ゲームは、ゴールをあげることが大事であり、パスをつなげることではない
仕事でもプライベートでも何でも良いが、何かをするときには、必ずゴールがある。例えば、資産運用の本を読む場合は、その本を置いた次の瞬間には申し込みをする、といった自分に適した資産運用方法を見つけることが主なゴールになる。よって、そのゴールに関係がある箇所を読むことが最短ルートになる。その著者が、なぜ資産運用方法の本を書くに至ったか、というような頁稼ぎのチャプラーであったり、自分とは環境が異なるセグメント向けの資産運用方法のチャプターを今読んでも意味がないわけである。

つまり、ゴールをあげるためにしないといけないことは何であるかを明確にし、それを実行することが大事なわけである。そうすることで、ムダなプロセスは省かれ、自分がかける時間は相当短縮化され、それにより他の大事なことに時間を充てることができる。

これをシャープに精度良く高いレベルで遂行することはなかなか奥が深い世界。構造化思考や仮説思考や、プロジェクトマネジメント等の基本スキルについて、スポーツにおける基本能力の底上げと同様に、常に磨き続けることが大事であり、中長期的に影響力があることなのかなと思う。


案ずるより書くが如し
コンサルティングではホワイトボードやら紙やらに、問題を書き出すことが多い。問題は書き出して整理する、は自分の思考を可視化することを意味するが、それにより、現状を構造的に明記し、その中の問題の位置付けを整理し、その上で、解決策を考える、というのが通常のプロセスが企画を中心とした仕事であることを考えたとき、理にかなったことだと思っている。だから、ある程度、込み入った問題の場合には紙に書き出すことが多いと思う。

しかし、最近私は、書き出しのハードルを下げていて、かなりの対象について書き出すことにしている。シャープにモノゴトを遂行したいと考えたとき、書き出すことによる可視化は、どんなにシンプルなことでもその時点の現状や次点の課題特定や解決策立案、そして実行計画が自然と明確になることから、一連の遂行プロセスがシャープにスピーディに進めることに繋げることができると思っているため。小さなことでもこれをちゃんと実施することで、単位時間あたりに片付けられる仕事量は相当あがると思う。


24時間×7日間を計画し、実行し、継続する
ちょうどこの本を読む少し前から運用し始めていた。Google Calenderをベースに。私がやり始めた意図は、集中するため。スケジュールに、会議もタスクも全て入れ込む。そして、その時間帯では、その会議やタスクに集中する。集中するために、書き込んでいた。

この本で推奨されているのは、少し観点が異っていて、仕事もプライベートについても、計画を立てて、忠実に守ることを進めること、にある。しないといけないことや、したいことが優先順位やメンタリティのアップサイドやダウンサイド等も含めて計画し、スケジュールに落とし込んでいく。そのスケジュールを着実に実行することは、目的達成に直結しているわけで、理にかなったこと。プライベートでも、仕事でも、その計画を遂行することが、自分が望む時間の過ごし方とイコールになるわけなのです。


---
と、色々と書いてきたけど、上記について、高い精度で遂行していくことはなかなか難しいこと。時間の使い方は、計画と実行を繰り返し、試行錯誤の上で、改善し、その精度を高めていくことが大事だと思う。先を見通して、自分がしたいことをスケジュールに落とし込みつつ、「今」に集中して、そして、楽しんで、人生を積み重ねることができたら、それは、幸せなのではないか、と思ったわけです。

2013年11月7日木曜日

面白い!を第一に (ソフトバンクモバイル)

ソフトバンクモバイルのCMは、vodafoneからソフトバンクモバイルになって以来、面白いCMが多くて、注目度合いが強い。認知率は勿論想起率もかなり高いことだろう。昔、何かで読んだが、ソフトバンクモバイルのCMの企画を担っているシンガタの佐々木宏さんが、とにかくCMでは目立つ、と話していた。確かに、毎回毎回目立ってるよ。

で、最近のCMが半沢直樹。まさかのドラマからのスライド。これはゼロベースに近いアイデアですね。半沢直樹のドラマ自体とても楽しく見ていたのですが、このCMも気に入っています。特に、こちらの一個目の会議室編。


「いいか、勝ったのはソフトバンクじゃない。ソフトバンクのユーザーだ。」

  • 半沢直樹が「言いそう」な言葉回し
  • それでいて、ソフトバンクがとても言いたいメッセージ
の二点をうまく結びつけている所が巧み技です。半沢直樹が目立つのだけど、それに負けず劣らず、ソフトバンクのアピールポイントも目立っている。そして、くすっと笑える。こういうのをセンスっていうんだよね、きっと。

そういえば、ソフトバンクて、半沢直樹」で堺雅人の奥さん役だった上戸彩もいるじゃん。近いうちに、コラボること必至ですな。

2013年11月4日月曜日

毎日子供と一緒に本を読む、という習慣 (「親子読書のすすめ」川本裕子)

マッキンゼーで活躍し、今は早稲田大学大学院の教授である川本裕子さんによる、「親子読書のすすめ」。彼女は、日本で最も多忙なワーキングマザーの一人でしょう。彼女が、子供と一緒に読んだ本というだけでも、とても興味深いですし、コラム的な形で、彼女のお子様方が小さかった時の苦労話や工夫話も興味深く読めます。



親子で読む本については、今風で言えば、キュレーション、のようなモノになるのでしょうか。具体的には、季節や月別に本を厳選し、概要を紹介されているので、本リストの一つとして、何か良い本がないかな、と思った時に、当該月を中心に探してみて、子供の興味が持てそうな本を選んで、買ってみたり、借りてみたりしたら良いと思います。

この本の背景としてあるのが、夜、寝る前に一緒に本を読むという習慣。毎日最低一冊は一緒に本を読んでから寝る。この習慣により、母と子が同じ時間と空間を共有し、同じテーマについて一緒に考える機会を定期的にもうけることが出来るのは、母子の関係において、とてもポジティブだと思いました。加えて、この習慣により、毎日物語りを読んで、その物語の内容について考えを巡らせることになるわけですから、子供の言語能力や思考能力を鍛えるのにもとても役立つと思います。良い習慣ですね。

彼女がワーキングマザーど真ん中の頃の話(今では、中学生や高校生になっている模様)は、どんなに優秀な人でも、子育ては大変なんだな、と勇気付けられますね。子供との時間、そして、家族との時間を大切にしながら、仕事も頑張るわけですが、時々心が折れることもあるでしょうが、そんな時には、こんなことで頑張れるようになれる、みたいな話で、小さな話なのですが、良いですね。仲間だね!と勝手に思っちゃいます。読んでて、うれしくなりました。


2013年11月3日日曜日

nendo design = 最強の右脳と左脳による非常識なMethodology × 超プロフェッショナルなAttitude (「ウラからのぞけばオモテが見える」佐藤オオキ nendo)

正直、読む前の本への期待値を大幅に越える内容でした。デザイン事務所nendo代表の佐藤オオキ氏とnendo自体の思考と行動に迫った内容なのですが、世間に流布する常識からはかなり異なる方法論 | Methodologyと、その背景にある右脳と左脳間でアウフヘーベンが起きまくっている思考 | Think、そして、根底にあるプロフェッショナルな姿勢 | Attitudeは、元々想定していた新進気鋭のデザイン事務所から想像する華やかなイメージからは、かけ離れた内容になっていて、驚きました。

佐藤オオキ氏は、早稲田大学理工学部建築学科を首席で、そして大学院も卒業。私も早稲田の理工で年次がかぶっているので、大久保キャンパスで4年間一緒だったようです。そういえば、かなり背が高い人が建築学科の方にいたような。というような記憶はさすがにないわけですが。あのキャンパスを一緒に過ごした人たちの中から、このような活動とパフォーマンスをしていることは、嬉しい限り。


佐藤"オオキ"と佐藤"可士和"
さて、みなさんは、デザイン事務所に、どんなイメージがあるでしょうか?少し特殊な日常を過ごす中で、キラリと光るアイデアが生まれ、そのアイデアを美大出身の人が、得意とするアプローチで、形にして、世に出て、みなが目にする。そんなイメージがあったりするように思います。

最近注目を集めているのが、佐藤可士和氏。彼はそんなイメージとは対極のアプローチをしている。クライアントであるトップとの対話を通じて、トップや企業、そして、商品・サービスの課題に迫り、その企業や商品・サービスの時系列的な実績や行動を分析し、コンセプトを固め、コミュニケーションにおけるグラフィックデザインに落とし込まれていく。そのアプローチは、コンサルティングファームにも通じる、論理的で本質的なアプローチ。普通の美大出身の人にはできないでしょう。小さい頃から長い間、整理、というキーワードに基づいて自分の行動であり思考をしてきた佐藤可士和氏だからできること。普通のデザイナーにはできません。

では、佐藤オオキ氏のデザインとは、どのようなものなのか?本質的には、佐藤可士和氏に近いと思います。企業や商品・サービスに対して、論理的で分析的、そして多面的に本質に迫ります。具体的には、全ての店舗で、その会社の一つのメッセージを作ろうとするアプローチや、商品ラインアップを全体で統一性を持たせてブランディングを高めるアプローチ、等。そうすることで、企業側からのメッセージ性を強くしているのと同時に、競合との差別化であり模倣のリスクをミニマイズすることも考え尽くした上でのアウトプットになっているので、なかなかのものです。


非常識なアイデア創出・実現の方法論
しかし、具体的なデザインをしていく段階で、とてもユニークな点を感じさせられました。大きく二つ。
  • アイデアを出すために目的意識は持たない
    • 何かの情報が欲しい、という目的意識を持つことで、関連する情報が目に入りやすくなる。所謂カラーバス効果。本を読む時も、街を歩く時もどんな時も、常に目的意識を持たないといけない、と普通考えがちです
    • しかし、佐藤オオキ氏は、アイデアを出すために何か特別のことはせず、常に脳を空にすることを意識して、日々のルーティンの中から、違和感に気づくことを大切にしている。頑張って目的意識を持つことで、その目的以外の面白いアイデアには気づかずに、アイデアは逃げていってしまう。だから、目的意識を持って焦点を絞って毎日を過ごすのではなく、広い世界を見える様にする
  • 100点をいきなり取ろうとしない
    • 「70点」のアイデアを沢山見つける
      • 100点のアイデアを見つけようとすると、ホームランか三振になってしまう。失敗しないことがプロとしての最低ラインである中、100点を取ろうとすることは、リスキー
      • アイデアを出す天才ではないことを自分でもわかっているので、エグゼキューション能力を高めている。最終成果物はアイデアだけではできなくて、エグゼキューションがあって、両者の掛け算。アイデアが100でも、エグゼキューションが50の場合、結果は50点になる。しかし、アイデア70、エグゼキューション100だと、結果は70点になる。クライアントがどちらに満足するかは、明白
      • そして、アイデアのパフォーマンスはばらつきが出やすい(100のときもあれば50のときも)が、エグゼキューションのそれは安定的(100をキープしやすい)
    • クライアントの期待値を超えるプレゼン資料を「三倍速」でまとめる
      • 時間をかければ良いモノができるという法則はない
      • 通常の三倍速でアイデアを形にすれば、同じスケジュールで三倍速でアイデアを形にすれば、同じスケジュールで三倍の量を提案できるし、そうでなくても、1/3の時間を提案にかけて、残り2/3の時間を軌道修正にあてて、完成度をあげることができる

目的意識は持たない。そうすることで、幅広い気づきを得る
上記一つ目の目的意識を持たない話は、とても印象的でした。結局、他の誰でもない自分が何か新しいことを生み出すことを考えた場合、何かのテーマがあったとしても、そのテーマに対する解を出す段階で、色々な要素を盛り込むことになる、つまり、創造とは、何かと何かを組み合わせることで新しいモノができることだと思いますが、実は、その片方の要素というのは、このような気づきから、生まれるのだろうなと思わされたからです。

実は、私も、一時期、日常生活の文脈の中での「気づき」については、はまったことがあります。とある、会社でのプレゼンでもそんなスピーチをしたことがあるのですが。しかし、その「気づき」にはまるだけではなくて、その「気づき」を何かの創造の一要素に確実につなげていく、ということはできていなかったな、と読んでいて思いました。

また、アイデアで100点をとらないことを心がけている点にも、驚きを感じます。佐藤オオキ氏であり、nendoは、世界的なデザインの賞を幾つもとってきているからです。100点をとろうとしていないのに、100点、つまり、世界的なデザインの賞をとれているってこと?!というわけです。

しかし、この算数は正しくないですね。佐藤オオキ氏の100点が、世界的な水準での100点とはイコールではないということです。これは、佐藤オオキ氏たちの考える100点がとても高いということもあるとは思いますが、先程のアイデアとエグゼキューションの掛け算の結果が、評価対象となる最終成果物の点数になる、ことに通じると思います。

この世に出ているモノやコトというのは、沢山の人が妥協せずに創りあげているわけですが、その過程で、なんらかの理由により、品質が下落していく要素は多分にあるということだと思います。そう考えてみると、アイデア70、エグゼキューション100の時間の掛け方や、ケーパビリティの開発の仕方、についても、磨く余地があるのかな、とも思いました。


圧倒的なスピードで、成功を引き寄せる
スピードの話は、コンサル業界でよく使われる、quick and dirtyとほぼ同じ。本中には、試作品を高速で作る話があるのだけど、この点は、世界的なデザインファームである、IDEOのプロトタイプの考え方にも近い。

特徴的なのは、試作品を超スピードで作っている点。企業側からオリエンテーションがあった3-4日後には、試作品ができている、というスピード感。オリエンが終わったら直ぐに、オリエン中にできた佐藤オオキ氏のアイデアから、試作品制作に取りかかるというムダのなさ。全体のアイディエーションもディレクションもこなす佐藤オオキ氏が海外にいたとしても、FEDEXで試作品を滞在ホテル先に送りつけ、判断と改善を推進していく超スピード。

ここで実現している超スピードの背景には、クライアントとの信頼構築・期待値コントロール、デザインプロセスや物理的なオペレーションプロセスの磨き込み、根底となる品質に対するコミットメント、実力重視の人材登用・活用、等様々な要素が混在した結果になります。

デザインだけでなく、デザイン事務所であり、高付加価値ビジネスの運営という意味でも、非常に示唆に富んだ内容だと思います。


厳しいプロフェッショナルな姿勢
そのようなアプローチの方法論について、とても興味深く読んでいたわけですが、やはり、方法論だけでは、世界レベルには到達しませんし、継続的なパフォーマンスを出して行く機会も掴むことができません。左脳と右脳が同居し、その両者が高次元で闘うことで、最高のパフォーマンスを出しているわけですが、その根底には、デザインや仕事に対する姿勢 | attitude があります。
  • 妥協は最大の不名誉。クライアントから指示されてからではなく、気づいたことを全力で行う。この「全力」が大事。自分たちが120%納得できていないとクライアントは100%満足させられない
  • あらゆるプロセスで手を抜かず、徹底してデザイン案を検討する。そのために、できるだけ精巧な試作品を常に高速で作る。そうすることで、より具体的で質の高い会話をクライアントとし、より良いデザインに繋げることができる
  • 他のデザイナーよりも優れた武器を持っているとは思わない。できることを生真面目にひたすら一生懸命やる。どこのデザイン事務所よりもデザインのことを考えている時間が長いだけ

---
Coolで涼しい顔で、センスの良いデザインをどんどん出していく、イケてるデザイン事務所。その背景には、超最高の方法論と姿勢があるわけですね。とても、興味深くこの本を読みました。かなりレビューが長くなりましたが、具体的な方法論については、ここではあまり紹介していませんので、是非、一度、この本を読んで頂ければと思います。

2013年11月2日土曜日

予定調和を壊し続ける (「リーガルハイ」フジテレビ)

実に面白いドラマ。一年前の前作では、こんなエントリーをしていたみたい。

 勝つことのみ善。

ラグビー全日本 元監督であり、三井住友銀行の元執行役員でもあった故 宿澤広朗氏の言葉ですね。勝たないと仕方なくて、勝たないと見えない出来ないことがあるわけです。そのために用意周到な準備を施し、絶対に勝つわけです。

と、いきなり話がずれました。法廷での審議が進む過程で、視聴者を裏切り続け、最後には必ず勝つ。水戸黄門ですね。エキセントリックな主人公 古美門のキャラに加えて、人間のキタナイ部分を包み隠さず、しかしポップな軽いタッチで表現しつつ、テンポの良いスピード感のある演出で重層的で奥行きを持たせていて、全く飽きないドラマでした。

しかし、今回の「リーガルハイ」。初回で、いきなり古美門を負けさせました。不敗神話を初回で覆す展開。ちょっと予想していなかったですね。水戸黄門的な展開で全然満足していたのに。しかし、実に面白い回が続いています。毎回のストーリーはこれまでを超える表裏も書き切った秀逸な展開が。

今クールを横串で繋いでいる魔性の女小雪はちょっと勘弁で、仲間由紀恵はオファーしたのか、という感じですが。今回新しく加えた、岡田将生のキャラクターは良いですね。前作は、元事務所所長との法廷闘争が中心で、キタナイ元上司であり立場的には強い相手を古美門が倒す、という立ち位置でしたが、今回は根っからの正直者の若手と戦うというダブルな二項対立を持ち出した所に変化を付けています。

勿論、岡田将生のキャラ付けも、アメリカ帰りのメルヘンな事務所に仕立てていて、バカらしくて笑えるようになっています。論理をベースとした法廷でのやり取りとのバランスをうまくとっていますね。色々な要素を盛り込むが、絶妙のバランスで、作品自体を食傷気味に陥らせない所が、脚本家 古沢良太氏の腕が光っているところですね。

ということで、前回を上回る面白さになっています。かの秋元康は、予定調和を壊すことがエンターテイメントである、と言ってしますが、そういう意味では、この作品は、最高のエンターテイメント作品になってますね。毎週存分に楽しみたいと思います。