これまで、新規事業戦略やら事業戦略やらで、多岐に渡る粒度・スコープ・フェーズにおいて、私自身取組んできたが、この本では、新規事業の取組みの過程で直面する壁と、壁への取組み方について詳述されている。
これらの壁というのは、実際にやってみないとわからないポイントだ。なんだかモヤモヤする、とか、本当に正しいのかわからない、とか、そもそも何から始めればいいのかよくわからない、とか。実際に新規事業に取組んでみると、色々あると思う。
そういった思い悩む読み手の目線を意識して、現場感溢れる具体的なアプローチが書かれているので、読んでみると、ストンと腑に落ちるのだ。新規事業に携わる人には必読の書だ。逆に携わったことがない、本気で考えたことがない人は、内容の消化率はあまり高くないだろう。
著者は、リクルートでの在籍20年間で、とらばーゆやフロムエー等14の新規事業を創出し、今のリクルートを創り上げたと言っても過言ではないだろう、くらたまなぶ氏だ。逆に彼がいなかったら、全く違うリクルートになっていたことだろう。企画屋というのは、0か100に近い世界なのだ。
彼が、これまで非常に沢山の新規事業に実際に取組んできた経験があるからこそ、その結晶化された方法論や具体アプローチの納得感は非常に高い。読んでみると、気が狂ったように没頭して、新しい何かを生み出してきたことがわかる。この一冊でそれを感じれるという意味でも、読む価値はあると思う。