2013年11月2日土曜日

予定調和を壊し続ける (「リーガルハイ」フジテレビ)

実に面白いドラマ。一年前の前作では、こんなエントリーをしていたみたい。

 勝つことのみ善。

ラグビー全日本 元監督であり、三井住友銀行の元執行役員でもあった故 宿澤広朗氏の言葉ですね。勝たないと仕方なくて、勝たないと見えない出来ないことがあるわけです。そのために用意周到な準備を施し、絶対に勝つわけです。

と、いきなり話がずれました。法廷での審議が進む過程で、視聴者を裏切り続け、最後には必ず勝つ。水戸黄門ですね。エキセントリックな主人公 古美門のキャラに加えて、人間のキタナイ部分を包み隠さず、しかしポップな軽いタッチで表現しつつ、テンポの良いスピード感のある演出で重層的で奥行きを持たせていて、全く飽きないドラマでした。

しかし、今回の「リーガルハイ」。初回で、いきなり古美門を負けさせました。不敗神話を初回で覆す展開。ちょっと予想していなかったですね。水戸黄門的な展開で全然満足していたのに。しかし、実に面白い回が続いています。毎回のストーリーはこれまでを超える表裏も書き切った秀逸な展開が。

今クールを横串で繋いでいる魔性の女小雪はちょっと勘弁で、仲間由紀恵はオファーしたのか、という感じですが。今回新しく加えた、岡田将生のキャラクターは良いですね。前作は、元事務所所長との法廷闘争が中心で、キタナイ元上司であり立場的には強い相手を古美門が倒す、という立ち位置でしたが、今回は根っからの正直者の若手と戦うというダブルな二項対立を持ち出した所に変化を付けています。

勿論、岡田将生のキャラ付けも、アメリカ帰りのメルヘンな事務所に仕立てていて、バカらしくて笑えるようになっています。論理をベースとした法廷でのやり取りとのバランスをうまくとっていますね。色々な要素を盛り込むが、絶妙のバランスで、作品自体を食傷気味に陥らせない所が、脚本家 古沢良太氏の腕が光っているところですね。

ということで、前回を上回る面白さになっています。かの秋元康は、予定調和を壊すことがエンターテイメントである、と言ってしますが、そういう意味では、この作品は、最高のエンターテイメント作品になってますね。毎週存分に楽しみたいと思います。