2013年6月11日火曜日

目の前の人を喜ばすコトにこだわる (「考えないヒント」小山薫堂)

人を心を動かして、行動を引き起こして、その人の人生を変えることができたら。そんなことを仕事にすることができたらいいなと思う。しかし、事業を通じて、より沢山の人に対して、とか考えてみると、多大なリソースを駆使するために、色々と難しい検討をしながら・・・とややこしくなっていって、手の届かない何かを掴もうとしているのかもしれない、とか少し遠くに目をやったりすることもないことはない。

しかし、実は、そんなに難しいことではないのかもしれない。目の前の人を喜ばすこと、その連続であったり、そこが基点となることで、沢山の人を喜ばすことができるかもしれない。そんなシンプルなことを大事にすることの大切さ。そんなことを考えさせられた本、なのかもしれない。



もう少し具体的に書いてみると。
  • 自分の身体をアイデア創出体質にすることが大切。何かを見ては、オレだったらこうするのに、という「勝手にテコ入れ」してみることを習慣とすることが重要。そして、自分ならこうする、というアティチュードが根本的な部分
  • 関係するが、日常をいかに面白くするかに力を入れる。そこにアイデアであり、時間をかけていく。非常にシンプルな動機付けなのだけど、理にかなっているかな、と
  • 面白いのは、面白くするために取組む対象が、別に営利目的というわけではなく、全然つまらない、お金にもならないことにも手を抜かずに、取組んでいく、という点。しかし、取組んだ一つひとつのコトが偶然的に大きな機会に結びつくこともある
  • 観察するコトや、人と話すコトが大事。アイデアの種はそこら中に転がっている。個人的には観察するコトや話すコトの前提として、感じるコト、気づくコトが大事だと思う。でないと、何も残らないので
小山薫堂氏のコトが気になり出したのは、こないだエントリーしたこちらの番組を見てから。料理の鉄人等のヒット番組やアカデミー賞等をとっていて、とても凄いのに、なんだか自然体で、好奇心やこだわりが人一倍ある感じなのだが、その様がおかしくって。で、その対談相手の佐藤可士和と違いすぎていて面白かった。きっと僕は、佐藤可士和系の人なので、違うアプローチをする人に興味がわいたのですね。

でも、実は、アイデアを出すという根本については、佐藤可士和も小山薫堂も変わらないのかな、とも思う。最も根本的には、先にも書いた様に、人やモノを観察すること、そして、人が対象だった場合は話すこと、その結果、アイデアの種に気づくことが大事。という部分があるのかな、と思う。

2013年6月8日土曜日

仕事の意味は、自分で見つけないといけない (「ユニクロ思考術」柳内 正 監修)

ユニクロが好きだ。大学の頃は、キャンパスの対面に店舗があって、研究室のみんながフリース買ったりして。すげー流行ってたからね。同じ研究室のオサレさんが、ユニクロの服をうまくコーディネートするのな。パタゴニアのショッキングイエローのジャケットに、ユニクロのカーゴパンツ合わせる?あー、そのメガネとカーゴパンツの丈がキーだよね、みたいな。彼には影響をうけて、ユニクロをうまく着こなす、というのには今でも課題の一つですよ。って、なんのこっちゃ。

そんな観点もあるのだが、会社がいいよね、っていう。大学の経営学の授業で、ソニーの盛田昭夫がニューヨークに行って、アメリカ進出のために苦労しながら攻略し、世界に認られていった話を聞いて憧れたものだった。なんてエキサイティングなんだ、と。しかし、ユニクロを持つファーストリテイリングは、「今」、そんなエキサイティングな挑戦をしている会社なわけなのだ。採用のHPに行くと、こんなコピーが出てくる。「世界企業に入るか、世界企業を作るか。」

勢いのある企業には、優秀な人材が集まっていく。この本では、佐藤可士和氏や片山正通氏などの社外から、堂前宣夫氏や勝部健太郎氏などの社内の人材の仕事感や仕事術などが書かれている。ファーストリテイリングに関連する飛びきりのプロフェッショナル人材なのだから、こだわりや強みのエッジがかなり尖っているという印象を受けるし、ユニクロすごいや、不況しらずだわ、ということがわかる。



「終わりに」の柳井正氏のコメントがよかった。過去に、松下幸之助や盛田昭夫など名経営者はいたが、現在活躍する経営者の中では、彼は特別素晴らしいと思わされる。ブログで引用するなんてナンセンスだと思うのであまりしないが、良かったので、少し長いけど、引用(一部中略)してみた。若い人は特に読んでみてみて欲しいところ。どんな優秀な経営者も迷って、それを乗り越えてきていたりするということ。目の前の課題にガチで向き合って、自分で答えを見つけていかないといけないのだ。

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サラリーマンになるなんて、意味がないと思っていた。卒業後もぶらぶらしていると、父親から「ジャスコに行け」と言われて、何の目標も持たずに就職した。当然、仕事に対するモチベーションなどなく、目の前の作業は作業でしかなかった。「仕事とは何か」など考えることもなく、わずか9カ月で辞めた。山口県宇部に戻り、家業の洋服屋を継ぐことになってから、俄かに仕事に対するモチベーションが高まった。洋服屋の仕事が向いていたというよりも、失敗すれば何もなくなるという状況にだったからだろう。これは、今だから思うことだが、ぼくは仕事に「向いている」「向いていない」はないと考えている。とにかく「それしかない」と思うこと。自分の一生の仕事と思えることを見つける、あるいは、そう思わざるを得ない状況に自分を追い込むことが重要なのだと思う。そして、それは早い方が勝ちだ。

仕事に意味はない。もっといえば、そもそも人生に意味はない、と考えることができる。しかし、人生の意味は、一人ひとりが仕事を通して発見し、作っていくものだと思う。悩まない人はいない。みんな自分だけが悩んでいると錯覚して、他の人は悩んでいないように見えてしまう。でも、全員が悩みながらも仕事をやっていると思わなくてはいけない。ぼくも昔はそうだったが、一人机の上で本を広げて考えていてもダメで、人と一緒に仕事をしながら体で感じていくことが重要だ。

2013年6月4日火曜日

ドラえもんから学ぶ絶妙な距離の想像力 (ドラえもん)


少し前の話。所謂知的な人と一緒に仕事をしていた時があって、論理的で構造的な思考を持っているのは勿論、科学も歴史も政治も何かもと言っても良いくらい広範で深い知識をもち、その知識を基にユニークで説得力のある意見を組み立て"続ける"人だったのですね。根本的に知的好奇心が強くて何でも理解し、得られた知識は丁寧に脳みそにストックされ、尚かつ、いつでも引き出しから出せる様な状況になっている様は、とても美しくて感動したりしたわけですね。また、話し方も整然としていて、・・・とまあ、彼の話はこの程度にしておきますが。

彼とは、過去1年3ヶ月程度の間、平日はほぼ一緒にいたのですが、先の通りの人なので、ランチの時ですら、油断できないトークが多かったわけです。クライアントも、around 40の脂ののった人ばかりで、技術系の人の割合も多かったせいか、ランチのときも、緩い話というよりかは、最新のテクノロジーの話をしていたわけです。

そんな最中、大学の学問の在り方から始まって、米の大学の研究費の大部分は国防費からでており、その資金力が日米の大学の研究の質であり、成果の違いに結びついているといいう話があったりした。で、その流れで、とある研究成果として、「ドラえもん」の「手」ができた、というトピックがでて、とても面白くて、記憶に残っている話。

ドラえもんの手は、球体なのだが、何でも掴むことが可能。考えてみればとても不思議な構造であり機能をしているのだが、アメリカの大学で、同様の機能を果たす手ができた、という。所謂手の部分は、通常球体で流体(確か)なのだが、モノに触れると、流体であるため変形し、モノを持った状態になる。その状態で相転移させることで、がっちりと「掴んだ」状態にできる。ということらしい。

そもそもは、地雷除去等の危険物を触る時に利用することを想定して開発されたわけだ(この点が、先の国防費の話と繋がったわけですね)が、「ドラえもん」の「手」に違いないよね。その研究結果を見て、ドラえもんの手にすぐに結び付けられた点も凄いことだし、そもそもその研究成果について、とある論文を見て、気づく点もすごいかな、とも思いますな。

しかし、ちょっと違う面から見てみると、「ドラえもん」の世界に出てくるコンテンツて、非常にクリエイティブで凄い、とも思わされるわけですね。科学技術力から絶妙な距離感の想像力、とでも言うのだろうか。そう考えたとき、逆説的に考えると、ドラえもんを読んでみると、そこに到達するための科学技術のヒントがあるかもしれない。そして、再度戻ってみると、ドラえもんを読むことが想像力への刺激的なコンセプトがあるないか、なんて思ったりしたのですよね、当時。企画屋は、ドラえもんを読もう!なのでございます。

2013年6月3日月曜日

「有言実行」なるか?(再) (HONDA)

HONDAという会社は、戦後、日本が復興し、世界第二位の経済大国になる過程で中心的な役割を果たし、地方の町工場から世界企業に成長したというJapanese Dreamを体現した会社の一つとして、日本人、特に、高齢の方にとって、強い印象が残っている。不可能を可能にするチャレンジ精神を有する会社として、今でも、この会社に期待する人は、多いと思う。そんな話を、こちらのエントリーにも書いた。

実は、今日電車から降りたら、こんな屋外広告が。思わず、立ち止まって読んでしまった。そして、写真をぱちり、と。

















それで、先の一年近く前のエントリーを思い出した次第です。技術を中心とした会社であるという自認がズレておらず、会社のコアコンピテンシーであり、進むべき方向性と広告の内容とがズレているわけではなくて、良いと思うのだけど、答えを出して下さい、に尽きますね。広告にある通り。言うだけではなく、形にしてほしい。HONDAなら。期待しているから、答えを見たいのです。HONDAの四輪車を出して50周年だからこの広告ができた、のではなく、答えがもうすぐ出るので、この広告を出した、ということを期待します。

2013年6月2日日曜日

自分流を突き詰める (「達人達」NHK Eテレ)

NHKのEテレで、「達人達」という番組がある。一言で言えば、一対一の対談番組なわけなのだけど、これがなかなか面白い。

例えば、クリエイティブディレクターの佐藤可士和と、放送作家・脚本家の小山薫堂の回。二人は、年齢が同じであり、新しい何かを企画して、大衆の心を動かし、行動を動かすことを考えるトップランナーであるわけだが、そのアプローチは全く異なる。

佐藤可士和は、超合理的なクリエイティブアプローチ。クライアントとのヒアリングをも基に、コミュニケーションの本質を探り出し、その本質を基点にデザインに落とし込み、マスプロモーションで、大衆を動かしていく。



他方で、小山薫堂は、化学反応を大事にする。何かと何かを合わせることで起きる面白い何かを突破口に、創り出しているように思う。その観察であり洞察は丁寧で巧み。継続的にヒットする企画を生み出すトップランナーの一面を垣間みれるわけである。



互いの仕事場に行き、対談をするのであるが、佐藤可士和の職場が、無駄なモノが全くない美しいまでに整理された合理的な仕事場なのに対して、小山薫堂の職場には、一見無駄なものが多いのであるが、仕事時間にアクセントを加え、通常とは違う流れを引き起こす仕掛けがされた仕事場になっていて、その違いは歴然で非常に面白い。

二人とも、新しい何かを創り、人の心を動かし、行動を動かすことを目指し、実現しているのだが、全くそのアプローチが異なる点にとても面白さがある。

佐藤可士和と小山薫堂の回は一例なわけだが、毎回、様々な業界で活躍するトップランナーが、対談することで浮き彫りになる、各者が仕事で大事にしていること、行動規範であり原理のようなものが、全く異なる点が面白かったりするのですね。成功のアプローチは多様であり、正解はない。自分流を突き詰めていくことが実は結構大事なのかもしれない、とか思わされるわけですね。

結構、この番組はオススメです。

自分"だけ"のプロダクト (土屋鞄製作所)

5年くらい前、かわいがっていた後輩が土屋鞄製作所の新書のブックカバーをプレゼントしてくれた。当時、ブックカバーには全く興味がなかったが、"プレゼント"という偶然のモノとの出会いを生んでくれる出来事を通じて、土屋鞄の上質な革製品のブックカバーに心動かされたわけなのである。

そこから、何かの小物を買う時には、革製品であり、土屋鞄が一つの選択肢になっていて、パスポートだけでなく旅行小物がはいるパスポートケース等も買ったりしていた。

革製品の何が良いか?というと、時間が経過する毎に、質感が変わり、馴染んできて、自分"だけ"のプロダクトになっていくのである。時間をかけて少しずつ変わっていくので、時間がかかった分愛着が湧いてくるわけですね。

最近、買ったのがペンケース。ペンの出し入れの時間がもったいないなという効率性の観点からペンペースは長期間使っていなかった。でも、気に入っている万年筆とかボールペンが、むき出しのままでもったいない、というか、大事にしたい、という感情もあるわけで。そういうモノのためにも、ペンケースがあるといいかな、と思った次第なわけです。












写真がこちら↑なのですが、なかなかいいですね。これを使い込んでいくことで、どんな風に変わっていくか。今から楽しみです。