2013年8月25日日曜日

ムダをなくすよ、渋滞学(「シゴトの渋滞学」西成 活裕)

結構前のことだが、日経ビジネスの人物特集で、「渋滞学」について研究している東大教授がいた。航空宇宙学か何かを元々研究していたが、最終的に行き着いたのが、渋滞学とのことで、年間10兆円以上の社会価値損失を生んでいる交通領域の課題を解決しようとしているという話であったと記憶している。

で、最近、本屋で目に入ったのが、こちら。渋滞の現象とその要因や解決のアプローチは、交通に限った話ではなく、個人個人の仕事であり、会社や経営にも応用が利くよ、という話。なんでも東大の改革に関しても、渋滞学の観点からアプローチをしているとのこと。



渋滞学の流れで出てくるのが、トヨタのカンバン方式。この周辺の話は、ムラ、ムリ、ムダ、をなくせ、という話とか、それなりに知っていると思っていたのだが、どうも明確に理解していなかった模様。
  • ムラがあるからムリをする。ムリをするからムダになる
ムラとムリとムダに関する腑に落ちる関係性。だから、ムラをなくすような標準的なプロセスや行動習慣を磨いて時間の過ごし方とアウトプットのベースラインを上ることで、ムリをなくせて重要なんだね、という、なんだか色々が繋がった感があったり。

また、渋滞学のキーポイント二つが、なかなか良いと思った。
  • 未来を予測しておくこと
  • かならず予定を踏まえて進めること
自動車の運転が上手なドライバーは、結構先の車までの状況を見た上で、アクセルやブレーキを踏むため、運転のペースは安定していて、渋滞は起きにくい。

他方で、仕事でも、先を見据えて計画的(この部分は、他に数点参考になるトピックスがありました)に仕事をこなすことで、余計なブレーキやアクセルがなく、周囲も含めて、安定した仕事、アウトプットを出すことにつながるよね、という話。

本書は、基本的には、渋滞学を軸とした話にしようとしているが、スピンオフ的に、筆者の仕事観や行動習慣等がポロポロ展開されていて、参考になる点も多かったですね。

2013年8月18日日曜日

基本を知らんやつは何もできねーんだ (「世界のエリートはなぜ、この基本を大事にするのか?」戸塚隆将)

著者は、新卒でゴールドマンサックス、その後自費留学でハーバードビジネススクール、卒業後マッキンゼーで経験を積み、今は独立してコンサルティング会社を経営している方。

投資銀行、経営コンサルティングファーム、MBAのトップを全てゲットしている方はなかなかいないと思うので、経歴的に超エリートと言えるでしょう。そんな彼が、過去色々な優秀な方々と一緒に仕事やスタディをする中で、学んだ仕事や処世の「基本」をまとめたのが本書となります。

「基本」。私は、30歳過ぎまで、この「基本」を全く認識してこなかったですね。正確に言うと、「基本」を「基本」と認識していなかった節があります。スラムダンクが好きで、首題は赤木の言葉の加工引用ですが、そんな印象的なセリフを楽しみながらも、基本をちゃんと認識して、対峙していなかったと思います。

しかし、何かの能力をちゃんと身につけたいと考えたとき、「基本」を深いレベルまで習得することの必要性に行き着くことに気づいたのが30歳をすぎた位でしょうか。結局、全ては、「基本」が何かの状況によって変わったものでしかないということ。で、何かの状況に応じて変えるには、「思考」することが必要。つまり、「基本」と「思考」の二つの要素を身につけることが大事なのかな、と考えています。

さて、これは閑話でして、本書は、結構テクニカルな項目が沢山詰まっていて、本を読んでみて、各人が、気に入った項目を取り入れていけば良いのかな、と思います。この本でいう「基本」とは、ビジネスにおける行動原理の文脈における「基本」といえると思います。「基本」を忠実に継続的に実践していけば、ビジネスを構成する各要素のパフォーマンスのベースラインを上げられるし、結果、周囲からの信頼関係も深まり、ポジティブなループを創り、たどることができるのかなと思います。



では、何を継続的に実践する「基本」とするか?詳しくは本書をご一読し、自分なりに、その意味合いを咀嚼し取り入れればと思いますが、私目線で、気になった項目について、本書の内容を伺い知って頂く意味でも、加工引用しておきますので、ご参考下さい。
  • 初対面の相手とは、挨拶の過程で3回は相手の名前を呼んで憶える。人の名前を憶えることは、相手の心象効果も含めて重要な要素
  • 引き受けた仕事はその場で5分間だけやる。状況を明確に認識している間に取りかかり、8割方の見通しを付ける。仮に不明なことがあっても、直後だから、聞きやすい面も有り
  • メールは朝一にはしない。移動中や午後の生産性の低い時間帯にする。時間当たりのパフォーマンス密度は異なるので、タスクと時間帯の紐付けを最適化する
  • 日曜夜には、週末に楽しんだことを振り返り、月曜に備える。遊んだから頑張る、ということを明確に意識して、月曜にのぞむ
  • 資料の細部にこだわる、手元に残るのは発言ではなく資料。タスクがマルチかつパラレルに沢山走ると資料への力の掛け方も考えてしまうが、完璧な資料作成を図るべき

2013年8月16日金曜日

合理とケチの間に。 (「世界の日本人妻は見た」TBS)

テレビ番組「世界の日本人妻は見た」でオランダ人に嫁いだ方の話が特集されていて、彼女のオランダでの生活のトピックスが幾つか取り上げられていた。その一つが、オランダ人はケチ、という話。これがかなり面白かった。ケチのエピソードとしてあったのが、例えば、こちら。
  • 年間5円の消費電力を節約するために、家電購入に何日もかける
  • 朝のパンの具は一種類。二種類以上使うと怒られる
  • 日中は家中の電気を消して回る
  • トイレットペーパーの一回当たり使用量が超短い。そもそも市販のトイレットペーパーの幅は日本製比較で狭く、一区画も短い
などなど。非常に興味深い内容であった。収録会場にいたオランダ人の肩身の狭いっていったらなかった。常に苦笑いっていうw

しかし、このように日々倹約につとめて捻出したお金は、バカンスに行って太っ腹に使ったり、献金に使ったり(一人当たり献金額が世界一)で、有効活用されているようだ。ただのケチではなく、合理的なのだ。

個人的には、倹約、つまりは、無駄を排除した合理的な毎日を過ごすことには大賛成だし、志向している。しかし、あくまでテレビで特集されていた内容は、度を超しているな、と思った。前にSLAについて記載したが、無駄を排除するために極度に時間を費やしたりすることは、その費やした時間こそ無駄になったりするので、バランスが必要だな、と思うわけですね。

ちなみに、ドイツも、倹約文化なのですよね。倹約が身に付いている国民性というのは、根が真面目で、着実できめ細かいパフォーマンスを出す様に思えたりする。実際、GDPは高い。思い返せば、日本も、倹約文化があったのだが、最近は見る影もない様に思うのは気のせいだろうか。これまた常にパフォーマンスが高い、トヨタ等の愛知企業や県民くらいにはまだ残っているが。

ということで、倹約、というキーワードから、色々考えられますなぁ。まあ、何にせよ、私は倹約を是とする、というか、無駄を排除して、日々を過ごそうという思いを強くした次第でございます。

2013年8月13日火曜日

毎日「捨てる」 (「佐藤可士和の超整理術」佐藤可士和)

更に生産性を上げたいな、と課題意識があるわけですね。そういった時に、「整理」というのが一つの打ち手として、久し振りにでてきたわけです。

外資企業に勤めていた時は、先述の通り、生産性向上の鬼のような会社だったので、結構「整理」していました。労働裁量制でフリーアドレスだったので、仕事の荷物は最小限で、紙も持たないで全てPCで完結するオペレーション。

このオペレーションは身体に染み付いて、他の会社で働いても、仕事道具はほとんど持たなくなりました。私の机の上には何もない、みたいな。机の中には、一応書類やらの資料が入っているのですが、野口悠紀雄氏の超仕事法に倣って、上からどんどん置いていって、しばらくしたら下の方から捨てていく流れ。机の中もほとんどモノがない。

ということで、会社の机周りは良いのですが、家の中や他のシーンでも、もっと「整理」をしたいと思うわけですね。
  • 何かを探す時間というのは、それ自体無駄だし、その前後の行動との接続の必要が生まれる観点からも無駄だし、何かを探すことをゼロナイズしたい
  • そもそも、いらないモノがあることは、空間を無駄に圧迫するし、自分の視界に入って、目に入ったモノを基点に思考が始まることでも無駄が生じる
ということで、無駄のない空間と思考のために、「整理」をしたいな、と。

色々と、「整理」の方法はあると思います。基本的に、タイトルにもいれている「佐藤可士和の超整理術」は空間や情報や思考を整理するという観点で、とても良書。tips的な整理方法もあるけれども、上位には、コンサル的な思考フレームワークがあって、レベルが高い。この本をちゃんと理解して実践に落とし込むことができると、相当パフォーマンスがあがるでしょう。情報や思考の整理については、レベルが高いので、日々の鍛錬が必要ですが。


そんな閑話もありつつ、最近私が習慣的にやり出したのは、「捨てる」ことですね。捨てる技術とか色々本が出ている様な気がしますが、それらの本は全く読まないで、「捨てる」ことを毎朝・夜のタスクに盛り込んでいます。

しばらく前から思うのは、普通に生活をしていると、モノが増えていく。油断するとどんどん増えていく。で、いつの間にか部屋はある程度圧迫され、モノを見てみれば、あれ、これってなんだっけ?と。そういうの、なくしたい。無駄でしかないから。

毎日、意識的に、「捨てる」。「捨てる」ことを考えると、その前後では、「整理」も考えている。また、「捨てる」という出口を考えていると、何かを「買う」という入り口のエントリーマネジメントも考えるようになる。「捨てる」って、生活を清流化する基点となるアクションだな、と試行してみる中で、とても思ったという話。