2012年3月8日木曜日

広告でイノベーションをおこした人の話(「デイヴィッド・オグルヴィ 広告を変えた男」 ケネス・ローマン)

ブログで幾つか取り上げている様に、私は広告が好きだ。広告って、ラブレターなのよね。自分(企業)が、好きな人(顧客)に振り向いてもらうためのメッセージの結晶と考えることができる。

メッセージは、一言のこともあれば、論理的に事実を積み上げることもあるし、きらっと光る映像でアプローチすることもある。ラブレターの在り方は十人十色だ。相手の心を動かすために、どのようなメッセージをこめるかを考えてみるのは、面白い。

首題の著書のデイヴィッド・オグルヴィは、科学的な根拠と本質的なアプローチにより近代広告を創ったとされる人であり、この本は、彼の人生の話だ。フランス料理のコックに始まり、セールスマン、リサーチャー(ギャラップ)、スパイ等、色々な仕事をしてきて、最終地点は広告である。仕事がめまぐるしく変わりつつ、広告業界で成功に駆け上がっていくその人生は、実に面白い。

一見異なる職歴の積み重ねに見えるが、最終的に広告業界で成功するために必要な能力を断片的に獲得し、それらを繋ぎ合わせ結集したものとも見える。これは、スティーブ・ジョブズが言う、点と点の話を思い出させる。例えば、彼は、各体験から、このようなことを学んでいる。

  • コック:「ここで自分がやることは全て重要である。自分の行動の全てに誇りを持つ。完璧でないものは全てが悪い。」と教え込まれる → 自分がやること全てに、プロフェッショナルであること。自分の至らなさに不満を持ち続けること
  • セールスマン:「いつもどうやって売れるかという視点からものを見る。考えることはそれしかない。」という観点でトップセールスを上げていく → 売上は「よい」広告かを判断する尺度。人を退屈させておいて、モノを売ることはできない

本人が、その時々で最善と思える取組みをし、実経験から学びを得て、それらをちゃんと活かす。それらにおいて、圧倒的な努力をすれば、突出した成功を導き、自分のビジョンを実現することができる。かもしれない、という話。