2013年7月28日日曜日

生産性向上、再び (「ハーバード式「超」効率仕事術」ロバート・C・ポーゼン)

私は「忙しい」という言葉を基本的に使わないのですが、最近めっきり「忙しい」ですわ。この「忙しい」という状態は、外部的な要因もあれば、内部的な要因もあるわけですが、外部的な要因の解決には限界があるので、内部的な要因に目を向ける必要があるのは言うまでもありません。で、この本を手にとったわけですが、手に取る前だか後だかに、自分の仕事の仕方について、振り返って少し考えてみました。

とある外資企業に勤めていたとき、当該企業は生産性向上のソリューションが一つの大きなサービスだったこともあり、会社自体が生産性向上の鬼でした。ツールも業務プロセスも、マネジメントも。私は、その生産性を高める、ということが身体に染み付いたわけですが、生産性だけでは、自分が考える新しい価値を創造することは難しいと思ったものです。

違う会社で働いていたとき、考え抜くことを重視する巨大企業の中枢の企画集団と1年半近く仕事をしていた間。この間は、考え抜くことが仕事でした。生産性は最低限担保するものの、優秀なプロジェクトメンバーよりも考え抜いて、企画のアウトプットを出すことが仕事で、多面的に何次元もの軸で考え抜いて、一つの解を出して行くことが必要でした。でないと、そこにいる意味がないので。脂の乗った年代の選りすぐりの方々と、毎日一緒に仕事をしていた時間はとても貴重でした。

結果、考え抜く、という姿勢が基本としてあって、自分の存在価値は、決まったことを着実に迅速にやっていくことよりも、新しいことを考えていくことにあると考えている点があります。で、ここで気をつけないと行けないのは、考え抜くということには結構時間がかかるということです。及第点として、70点をとるには、10分で済むかもしれないが、100点ないし、95点等の高得点をとるためには、60分かかるかもしれない、ということ。Service Level Agreementの設定の際に出てくる、時間=コストとService Levelに近いかもしれません。

だから、全てにおいて、考え抜くと時間がとてもかかってしまうわけです。だから、考え抜く対象を選んでから、考えないといけない。これは、当たり前の様でいて、個人的には、運用していくために、Try and Errorが必要と思います。考え抜く必要がない仕事って、あるかな?と思うわけです。どんな仕事も、考えていくと、もっと良い仕事のやり方がみつかったり、より広義の仕事に変化して、より価値が高まったりするわけで。仕事とは、自分から創るものであり、自分の周りに存在するモノ・コトは全て仕事になりうる状態に身を置いている、というのが基本。そして、人と関わって行く中で、自分が考えることで提供できる価値というのは日々の業務の中で無数に存在して、出会うものなのかな、と実感値としてもあるわけです。そん中で、やはり、自分の中で、対象に対する重み付けが必要になってくるなと思うわけです。

ということで、首題の本の話にやっと繋がりました。著者の略歴はこちら。
  • 資産運用会社フィデリティ・インベストメンツの副会長
  • MFSインベストメント・マネジメント会長
  • ワシントンの法律事務所のパートナー弁護士
  • HBSの上級講師
  • ブルッキングス研究所の上席研究員

で、これらの経歴や実績が、家族とは毎日19時から、一緒に食事の時間を共有しつつ、8時間睡眠をした上での話なのが大きな特徴。猛烈に仕事をする人たちがいて、その中で、家族との時間や睡眠やらなにやらの時間をカットしていたりするのですが、この方は、そういったことを完全に否定しています。

キーとなるのは、冒頭の話に繋がる点で、要は、自分の仕事上の目的や目標を明確にし、目的や目標を達成することに関連する仕事であり情報に限定して仕事をするもので、それ以外のほとんどはカットしていく。超目的的な時間の使い方。とても割り切られた仕事術なわけですね。

そんな考え方が最も重要な点であり、彼の生産性向上の施策は全てその考え方に帰着するのですが、その過程で、Hacks的にテクニックがあったりします。自分なりに、生産性を高める様な工夫は常に図るべきだと思いました。最近、おろそかにしていたかもな、と思い返しました。

自分の目的に即した業務にフォーカスして時間を利用する。考え抜くところは考え抜くし、その中で、生産性を最も向上させるような仕事の仕方の工夫もしていく。書いてみると、シンプルなのですが、磨いても磨いてもな、内容でもありますね、これ。